うちの隣の家はうちとの堺に大きな柿の木を植えています。 この柿の木のせいで、落ち葉がうちの雨どいに詰まったり、秋になると、ぐじゅぐじゅにつぶれた柿の実が庭に落ちて汚く、とても迷惑しています。以前、隣のおじさんにそれとなく抗議してみたのですが、その時はうちの方に張っている枝をちょっと切って、落ち葉を掃除してくれはしました。しかし数年経ったら以前同様。木もどんどん成長を続けていて、うちの庭に、ものすごくせり出しているのです。
 あまりの落ち葉の量と、つぶれた柿の実で腹が立ち、高枝切りバサミで、うちの塀の垂直上からせり出している部分をすべて切ってしまいました。
 柿の実は食べずに隣の家に持って行ったのですが、隣のおじさんは烈火のごとく怒っているのにビックリ!?
 人の家の木は切ってはいけないのでしょうか?でもうちの敷地なのに...。おまけに 柿の実はちゃんと届けたのに!
 何の手入れもしていない庭なのだから、柿なんて持って行かなければよかったのでしょうか。
民法233条に「隣地の竹木の枝が境界線を越えるときはその竹木の所有者 をしてその枝を剪除せしむることがことができる」、「隣地の竹木の根が境界線を越えるときはこれを截取することができる」とあります。分かりにくい日本語ですが、要するに、隣地に生えている植物については根がはみ出してきた場合は自ら切ってもよいが、枝については自分で切るのではなく、相手に切ってもらわなければならない、というのが法律の定めなのです。
 じゃあ、どんなに頼んでもちっとも切ってくれないときはどうするの???その時は、木を切ることを求めて裁判を起こすしかないのです。その際、これまで落ち葉やつぶれた柿のために生じた損害、例えば掃除の費用、雨どいの補修費用は問題なく請求できます。これまで抗議したのに切ってもらえなかったというのであれば、慰謝料も請求できるでしょう。
 法律に反したわたしは逮捕されちゃうのかしら...そうです。 形式的にはあなたの行為は器物損壊罪(刑法261条)に該当します。しかしこの罪は被害者の告訴がなければ処罰されないので柿の実を持って行ってきちんと相手に謝り、相手が警察に告訴しなければ大事にはいたらないでしょう。
 というわけで、隣地の竹やぶから敷地内に生えてきた竹の子は取って食べてしまってもよいが、枝については勝手に切ることはできない、というお話でした。

 私は一人暮らしの気の弱いサラリーマンです。新聞の勧誘のしつこさに困っています。新聞はあまり読みません。たまに何となく会社の新聞を読むくらいです。テレビの番組表はテレビガイドみたいなもので済ましています。そうやって何回も説明をしているのに、しつこく勧誘してくるのが2人もいるんです。居留守をつかっていると「いるんでしょう〜。」ドアを激しくノックする。「宅急便でーす。」というので覗き穴で見てみると相手の目もこっちを覗いていて・・・。あげくに「嘘で〜す、開けてくださ〜い。いるの見えちゃいましたよ〜。」1回なんか夜10時頃に来て 「私よ(2人いるうち1人は女の人)私。開けて〜」と言うので、この時はさすがにキレて「警察に電話してやる!」っと言ったらしばらくして居なくなりました。あと1回アパートの前で偶然会ってしまい、その時たまたま上司からもらったおもしろい記事が載っている新聞を小脇に抱えていたら、それをひったくられて「新聞読んでるじゃない!なんでウチからとらないの?」と詰め寄られました。この時はそのまま走って逃げました。もうあまりにひどいので、それぞれの新聞社に電話してクレームを言ったんですが、その場だけの平謝りで何の改善もありません。警察に行っても真面目に相手にしてくれなさそうです。どうしたらいいのでしょうか。

しつこい新聞勧誘、本当に困りものです。自宅を販売員が訪問して一定の商品やサービスを販売する場合には、訪問販売法という法律が適用されます。新聞の販売元はこの法律の適用対象ではなかったのですが、このような例のトラブルが多発したことから平成3年に適用対象に加えられました(訪問販売法施行令別表第1番1号)。
 この法律では、業者は契約を締結させるために、人を「威迫して困惑させてはならない」と定めています(5条の2第2項)。この条項に違反した場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます(22条1号)。さらに、通産大臣に対し、適切な指導をするよう申し出ることもできることになっています(18条の2) 。具体的には、通産省(現経済産業省)の通産局あるいは都道府県の訪問販売法の担当部局に対し申出書を提出することになります。但し、通産省(現経済産業省) 産業政策局消費経済課の話では、被害が他の人にも拡大する可能性があるような場合でなければ、申し出ても調査・指導を行わないのが通例のようです(なお、これまでにどのような申し出があったかとか、申し出のあった件数については、公表していないとして教えてもらえませんでした)。どうも日本では、法律にはいいことが書いてあっても法律を実際に守らせるための仕組みがなかったり、守らせるのかどうかは行政機関(官僚)の気持ち次第という場合が多いのが困りものです。ともかく、相談にはのってくれそうなので、通産省(現経済産業省)の消費者相談室あるいは都道府県の消費者センターに電話してみるのもいいでしょう。なお、玄関に入ってきて、どうしても帰ろうとしない場合には「帰って下さい!」と断固3回以上繰り返した後で、110番すれば、不法退去罪(刑法130条)として取り扱ってもらえるはずです。
 私は雑誌の記者をしています。先日、よく取材をしているデパートからプレス・ カンファレンスのお知らせをいただきました。デスクの許可を得て、当日カンファレンスに行ったのはよかったのですが、カンファレンスの後、記者懇談会という参加自由のパーティーがあったのでそれにも参加しました。おいしい料理とお酒を少し頂いた後、直帰の予定だったので帰路についたのですが、自宅の近くで急に曲がってきた自転車とぶつかって転び、捻挫をしてしまいました。
 病院に行って手当をしてもらい、翌朝労災を申請したのですが、デスクに一蹴されてしまいました。デスクの話では、カンファレンスまでは仕事だが懇親会は自由参加だし、そこから何が起きても労災を申請できないとのこと。でも他の記者さんと話を交わすのも仕事のうち(確かに料理やお酒を楽しみましたが)と思っていますし、「酒を飲んだならそれはもう仕事じゃない」と言われたら、接待はどうなるの?と疑問に思います。こういった場合、労災について何か明確な決まりがあるのでしょうか?
労働者が通勤途中に事故に遭って死傷した場合、通勤災害として労災保 険金が支給されます。しかし、会社で事故に遭う場合に比べ、通勤途中の事故の場合は本当に通勤途中だったのかなど疑問が生じやすく、訴訟などの争いになるケースが多い(したがって、弁護士に対する相談も多い)と言えます。
 本件の場合、まず問題となるのは、プレス・カンファレンスの後の記者懇親会が、「業務」つまり「仕事」といえるのかどうかという点です。この点に関し、著名な雑誌社の編集主任の人のケースが実際に訴訟になりました。
(1)海外ロケについてカメラマンと事務所で打ち合わせをし、その場でビール1本とラーメン1杯を飲食した。
(2)その後、料理屋で待つモデルの女性およびそのマネージャーに合流し、約1時間、海外ロケの打ち合わせをしながら、ビール1・2本、水割り2杯、焼きおにぎりを飲食した。
(3)その後、そのマネージャーと2人で、クラブに行き、約2時間半、モデルに着せる水着やギャラに関する打ち合わせをしながら水割り3杯を飲んだ。
(4)その後、マネージャーと2人でお茶漬け屋に寄り、お茶漬けを食べた。
 あなたはこの中で、「仕事」と言えるのはどこまでだと思いますか?
 裁判所は(1)と(2)は仕事だが(3)と(4)は仕事ではないと判断しました。(東京地裁平成2年10月29日)2時間半もいて、水着とギャラの話だけだったのでは仕事の打ち合わせとは言えないということです。場所がクラブだったのもまずかったと思います。
 さてあなたの参加した記者懇は、1時間程度で仕事中心の会話でしたか?
 次に、通勤途中の「立ち寄り」の問題ですが、これにも3種類あります。
(1)駅の便所に行く、売店で新聞・ジュースを買う場合
(2)夕食の野菜を買う、病院に行く、1人で食堂に入る場合
(3)映画館に寄る、バーで飲む、彼とレストランに行く場合
 皆さんおわかりですね。(1)はそもそも立ち寄りとは見なされず、完全に労災の対象です。(2)の場合は、これらの用事のために通常の通勤経路から逸脱している間に事故が生じてもダメですが、再び通常の通勤経路に復帰した後の事故については、労災とされます。そして(3)の場合には、そのような目的で通常の通勤経路から外れた途端、「通勤」ではなくなり、その後通常の通勤経路に戻ったとしてももはや労災の適用はありません。
 本件で言えば、コンビニに明朝のパンを買いに行ったのだとすれば、コンビニ往復の経路を除き、労災の対象となります。しかし、バレンタインデーの前日になってあわててチョコレートを買いに行ったのだとすると、労災とは言えない可能性が高いでしょう。
クレジットカードを紛失していまい、引き落としの明細書が届いて初めてなくしていたことに気が付きました。私には全く覚えのない買い物(75万円)の請求が来てしまい、すぐクレジットカード会社に電話をして「私ではない!」と繰り返しましたが取り合ってもらえませんでした。この身に覚えのない買い物代金、私が支払わなくてはいけないのでしょうか?どうしたらいいんでしょう???

そんなに焦らないで冷静になってください。落ち着いたらクレジットカード会社に電話をして、カードを紛失したことを届け出てください。紛失したときの状況や、紛失後時間が経っている場合には気付くのが遅れた理由をかなりしつこく聞かれると思います。警察への届出をするよう求められる場合もあります。
紛失に気付いてすぐ電話したのであれば、仮に他人に不正使用されたとしても、カード会社に届け出る前60日間及び届出後60日間に不正使用された分については、カード会社が掛けてくれている保険でカバーされ、あなたは支払わなくてよくなるのが普通です。したがって、何の心配もないのです。
しかし、あなたは紛失してもしばらく届出をしなかったようですね。その場合、カード会社としては紛失したのではなく、実際はあなたが買い物をしたのに、後になって紛失だと言って支払いを免れようと騒いでいるのではないか、と疑っているのです。
また、紛失したことは分かっていたけど、あのカードは普段あまり使っていないからまぁいいや、と言ってカード会社へ届出をしなかった場合はどうでしょうか。皆さん、読んだことはないと思いますがカードの契約をするときに虫眼鏡でも読めないような小さな字がびっしり書かれた紙を見たことがあるかと思います。あれがカードに関する契約条項なのです。その中には、「カードを紛失したときは速やかにカード会社に届けなさい。そうでないと、不正使用されても保険は適用されませんよ」という意味のことが書いてあることが多いのです。そうすると、紛失したのに放っておいた場合には保険は適用されず、あなたが支払うことになります。
じゃぁ、どうすればいいの?とっておきの秘訣を伝授します。それは、紛失したことにしばらく気付きませんでした、と言うのです。もちろんしばらく気付かなかった理由を聞かれますから、なるほどと思えるような理由が言えないとダメです。それだけではカード会社もあきらめません。あなた自身が使用していないことの証拠も必要です。えっ!そんな証拠、どこにあるの?もう一度、引き落としの明細書をよく見てください。75万円の買い物をしたその日付とお店の名前が入っているはずです。その日のあなたの行動をよく思い出して見てください。その日にはそのお店にあなたが絶対行くはずがないという一種のアリバイが必要です。えっ!その日は朝から研修で会社にカンヅメ?それならきっと大丈夫だと思いますよ!

マンションを引越することになりました。退去する旨を管理会社に連絡して、退去日に部屋のチェックをしてもらったのですが、「壁紙などを全て取り替える必要があるので、敷金は返却できない」と言われました。8年住んでいたのでさすがに入居した当時のままとはいかないけれど、まめに掃除はしていたし、きれいに使っていたつもりです。こういう物も借り主が全部負担しなければならないのでしょうか?

マンションの借り主は退去に際し、部屋を「原状に」回復させなければなりませんが、これは完全に入居時の状態に戻すことではなく、自然にあるいは通常の使用過程において生じた摩耗、毀損は含まないものとされています。よって、壁紙が汚れたとしてもあなたが通常の住まい方、使い方をしていて発生したものであれば、その交換費用をあなたが負担する必要はありません。
例えば、日焼け・ほこりの付着等はあなたの責任ではありませんが、タバコで焼けこげを作ったのであれば、あなたが費用負担することになるでしょう。裁判例では、冷蔵庫の排気の跡が壁に付いたケースで、賃貸期間が10年に及んでいることから、通常の毀損であるとして借り主の責任でないとしたものがあります。
といわけで、勇気を持って家主さんと交渉してみてください。なお、交渉が決裂した場合、原則1日で審理が終了する少額訴訟制度というものがありますので、お近くの簡易裁判所に聞いてみるのもよろしいかと思います。

アウトドアが大好きな私は遂にあこがれの4WDを買うことになりました。普通の車より少し高いけれど、一生懸命あちこちの展示会などを見て研究し、比較的リーズナブルな値段で見つけることができました。内装も自分である程度選べるので、本当にウキウキでいろいろオプションを付けて前金60万円を支払いました。その時は内装などに時間がかかるので納品は2ヶ月くらいかかると言われたのですが、それから2ヶ月、そろそろかな、と思って電話をしてみたら、内装のある部品の在庫がなく、入荷待ちなので未だ他も手を付けていないと言われて大ショック!そんなこと一度も連絡はなかった!そこで「いつ納品してくださるんですか?」と聞いたところ、「わからない」の一点張り。確かに部品がなくては手が付けられないけれど、納期もはっきりしないのであれば他のディーラーから買いたい。その旨を伝えると、「もう前金もいただいているから」と言われるばかり。こんなにいい加減な対応なら、こちらはキャンセルして前金も返してもらう権利があると思うのですが … 。契約書には残念ながら納期に関しては記されていません。

納期が決まっているのであれば、これを守らなかったディーラーの方に契約不履行があるわけですから、あなたは契約を解除し、支払った前金ももちろん返還してもらえます。納期の定めについては、口頭で行っても有効ですが、おそらくこのような争いになると、ディーラーは「納品まで2ヶ月とは言っていない」と前言を翻してくるでしょうし、その場合、こちらに確たる証拠がありません。 但し、万一、納期については決めなかったのだとしてもそれはいつ納品してもよい、1年後でも10年後でもよいということにはなりません。取引の慣行その他の状況からして、合理的な期間内に納品しなければならないのです。但し、この場合、合理的は期間とはどのくらいかははっきりとはしません。常識的に考えて数ヶ月というところだとは思いますが、2ヶ月以内に納品しなければならないとまで明確には言えないでしょう。
 ところで、本件のディーラーはあなたからの問い合わせに対し、いつ納品できるのかわからないと答えています。これは合理的期間内には納品できないことを自認したものとも考えられます。そうだとすれば、履行不能(どんなに頑張っても納品することはできないこと)を理由に契約を解除することも可能です。
このような解除権をちらつかせながら、入手困難な内装を別の物に変更し、かつ遅れに相当するサービス品を付けさせるよう交渉する・・・と言うことができたら、あなたはかなりのやり手ですね。

 
 
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